AI翻訳の精度が年々向上し、「もう翻訳者は必要ないのでは?」という声も聞かれるようになりました。Google翻訳やDeepLなどを使えば、日常的なコミュニケーションや簡単な資料の理解には十分役立ちます。
しかし実際には、翻訳の仕事がすべてなくなるわけではありません。むしろ、AI翻訳の進化とともに翻訳の役割は「残る分野」と「置き換えられる分野」に分かれつつあります。
本記事では、翻訳の仕事がなくならない理由を「技術的な側面」と「制度的な側面」から解説します。
AI翻訳でなくなる分野とは?
まず、AI翻訳が得意とするのは「意味が分かればよい」レベルの翻訳です。
例えば、外国語のニュースを大まかに理解したいときや、社内での参考資料として読む程度であれば、AI翻訳で十分対応できます。こうした用途においては、すでに人手による翻訳の需要は大きく減少しています。
それでも翻訳がなくならない理由
1. 技術的な理由
100%の精度には至らない
AI翻訳は99%正しいかもしれませんが、残りの1%は誤訳の可能性があります。その1%が契約書や証明書などの重要文書に含まれていたら、大きなリスクにつながります。最終的な確認や修正は、人間の翻訳者が必要です。
レイアウト調整ができない
AI翻訳は文章を翻訳することは得意ですが、現在の技術では、原文と同じ形式でレイアウトを簡単に再現することはできません。例えば、Excelのセル幅や罫線、複雑な表組みなどをそのまま翻訳文に反映させる作業は、人間による調整が、まだ必要です。
2. 制度的な理由
翻訳の世界には「制度的に人間の翻訳が必要」な場面が多くあります。
例えば、以下のようなケースです。
第三者による翻訳が義務づけられている場合
提出先が「本人翻訳は不可」としている場合、どんなに英語ができても翻訳会社へ依頼しなければなりません。
翻訳証明書の発行が必要な場合
証明書や契約書などでは「翻訳証明書」の添付を求められることがあり、これは翻訳会社でしか対応できません。
公証やアポスティーユが必要な場合
翻訳に加えて、公証役場や外務省などでの認証を必要とするケースもあります。これらはAI翻訳では対応できません。
結論:翻訳の仕事は「なくなる分野」と「残る分野」に分かれる
翻訳には、「多少の誤訳があっても意味が分かればよい」といった需要がある一方で、正確性や制度的要件が求められる翻訳も存在します。前者の需要は縮小しているものの、後者については今後も必要とされる場面が続くと考えられます。
特に証明書や契約書などの翻訳は、提出先の制度や証明書の発行、公証やアポスティーユといった法的要件が関わるため、人間の翻訳者・翻訳会社に依頼する必要が生じるケースが多くあります。こうした背景から、この分野の翻訳が今すぐなくなることは考えにくいでしょう。
つまり翻訳の仕事は一律に消えるのではなく、「なくなる分野」と「残る分野」に分かれていくと見られます。正確性や制度面での裏付けが求められる翻訳は、今後も一定の役割を果たしていく可能性が高いといえます。
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